男女女ラノベ紹介

って何?

 まず男女女ってなんだよという人が多いと思う。こっちが聞きてぇわ(逆ギレ)。わかりやすくふんわり言うといわゆる男男や女女と同じ類型で、三人の男女が三人ともほか二人のことを少なからず想いあっているような関係性のことを男女女、と言います。明確な定義はなく、上記の説明もあくまで私個人の主観による定義です。

 長々と定義論をするとアチアチなことになってしまうので早々に本記事の紹介をしますと、これは私が好きな男女女のラノベを紹介しようという記事になります。なんか自分の男女女イデオロギー(?)的に男女女のラノベかと言われると微妙だな……と思うのは「番外編」として載せました。ラノベに限定しているのは男女女はラノベ以外だとあまり見かけないからだというのがありますし、私自身読書がラノベに偏っているからというのもあるので、皆さんでアチアチなオススメがあればお待ちしています。

 

作品紹介

〈友達いらない同盟〉園生凪

 疑似部活もの。簡単に言うとマジメ一辺倒の俺ガイル。捻くれた性格からクラスカースト上位のギャル・城ヶ崎に喧嘩を売ってしまい、クラスでぼっちになってしまった主人公・新藤。そんな彼に、クラスの地味な女子・澄田が突然同盟を組まないか?と持ちかけてくる。そこからさらに喧嘩を売ったはずの城ヶ崎も関わってきてというもの。

 男女女ものとしては、おそらく一番面白いんじゃないだろうか。(園生凪作品の中でも最高傑作かも)。作者の園生凪は独特な会話のテンポが特徴で、同じ作者の『夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去』(こちらも面白い)の表現を借りるなら、どこか「音楽的」でマイペースな会話劇が展開される。テーマとしては「絆が不可能な時代に絆を贈与しあうこと」というか……まぁ読んでみた方が早いですね。全2巻なので読むのがたるい私なんかでも読みやすい。

 

〈1LDK、そして2JK。〉福山陽士

 最近流行りの同居もの。会社員の駒村は、ある日家庭の事情により家を離れた気が強い従姉妹のJK・奏音を預かることになった。その対応で忙しくなるなか、会社に出勤中、家出してきたというJKのひまりもひょんなことから知り合い、こちらも預かることになってしまうのだった。

 主人公とJK2人の関係だけでなく、同居するなかで起こる小さな生活上のトラブルにもたびたび言及があり、淡々とした日常パートが生活感を生むことに繋がっている点が面白い。主人公駒村の異常独身男性みたいな性欲は正直勘弁してほしいナ……と思いつつ、連載中のラノベのなかでは貴重な男女女枠であり、かなり重宝している。

 似た作品としてよく引き合いに出されるのは某ヒゲを剃るラノベだが、主な違いとしては同居しているヒロインが一人か二人かという点で、こちらは男女女属性を獲得していると言えるだろう。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 11』渡航

 蛇足でシリアスすぎると批判されることが多い(し、私自身もあんまり好きではない)俺ガイルの後半部分でも、この巻だけは例外的に好きな方。たぶん三角関係が匂わせ程度で、まだ前景化してないからだろうな。なんというか、別れが近づいている奉仕部の悲壮感と、さらにそんな関係になるまで自分が入れ込んでしまっていることへのメタ的な自省感があるというか……。後者は深読みしすぎじゃないと良いね。

 11巻では、一色いろはの依頼を受け、奉仕部はバレンタインデーのイベントを手伝うことになる。三浦たちも加わり、和気藹々とした空気が流れるが、それを見た雪ノ下の姉・陽乃に、これが君たちのいう本物?と指摘されてしまうのだった。

 男女女の作品自体は何個かあれど、自分たちの関係それ自体を俯瞰する作品は俺ガイルぐらいではないかと思う。特にこの巻ではポイントを一番多く集めたものがお願いことを叶えられるという一巻の設定が回収されてて、そういう意味でもアツい。

 

番外編

『ワールズエンド・ガールフレンド』荒川工

 

 男女女っていうよりは男の子一人と双子姉妹との恋愛関係じゃないか……?ってなったのでとりあえず番外枠に。田中ロミオの解説が有名な作品だけど、内容自体も普通に面白い。

 面倒になってきたので、以下公式の粗筋を抜粋。

「双子の姉妹、まひると真夜。幼なじみの少年、慎司。それぞれに恋心を抱きながら育ち、やがて高校生となったある日、真夜は事故により記憶を失い、日常がゆるやかに崩壊をはじめる。

 ポエミーな文章が随所で差し挟まれ、時系列も現代と過去が交互に描写されることで話の筋も薄ぼんやりとしたものになっている。文章の美しさと幻想的な雰囲気に味があると言える作品。

 

暗闇にヤギを探して穂史賀雅也

 ここまで来るとさすがにこじつけっぽい。男女女は三角関係も内包するからね、仕方ないね。

 ボーッとしていて、窓から見える風車を見ることが好きな主人公・合人。そんな彼には、何故かいつも着ぐるみを着ている幼馴染・風子がおり、そんな彼女や友人たちに囲まれながら、合人は平穏な日常を過ごしている。そんなある日、とあるきっかけから紙しか食べられないという不思議な生徒会長・千歳と知り合い、話すうちに仲も深まっていく……というお話。

 常に着ぐるみを着ている風子になんの説明もないまま話が進んだり、風車というモチーフを蝶番に夢と現実の境界が曖昧になったりするなど、とぼけた語り口の中にも幻想的な風味がある作品となっている。かと思うと3巻の冒頭に幼馴染・風子のダウナーな一人称が入ったり、ダウナーな女性一人称オタク的にもおいしい。

 

今回はここまで

今回はこんなところですかね。俺の私のワシの好きな激アツ男女女作品紹介を待っています。『私たちの田村くん』は1億年積みっぱなしなのでそろそろ読みたい。