ゲームにおける「選択肢」にまつわる雑記

「選択肢」にまつわる根深い問題

ツイッターで回ってきた画像で、虚淵玄が面白いことを言っていた。かなり昔なので出典も、下手したら真偽も不明だが、「エロゲの選択肢は選択の場面から選び手が自由に行動を選択できるわけではなく、これまでのストーリーの流れから選択肢はひとつに限られている」という趣旨だったように思う。実は分析系の哲学者青山拓央も同じようなことを言っていて、曰く行為選択における自由意志は存在しないと。こちらもこちらでいつか深掘りしたい案件ではあるが、とにかく選択肢という事象は、かようにも根深い問題なのである。今日は、そんな選択肢というものについて、私がゲームのなかで見つけた面白い利用法・現象を紹介したいと思う。

 

「選択肢」にまつわる面白いあれこれ

 『捻くれモノの学園青春物語』

 かなりマイナーなゲームだと思うがご容赦願いたい。『捻くれモノの学園青春物語』、通称「くれもの」はエロゲブランド「りびどーそふと」から2018年12月に発売されたエロゲーである。*1

 こちらのゲームで、以下のような場面がある。

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「くれもの」さやかルートより

 これは、「くれもの」のさやかルートで、ヒロインのひとり椎名さやかが、自分の過去の話を語るシーンである。小さいころから孤児のための施設に入居していて、誰ひとり友達ができなかった。そこに主人公の夷隅が部活に勧誘してくれ、「私、1人じゃ、なくなった」のである。

 本作の面白い点は、この設定(感情)がほかのヒロインのルートでも登場してくることだろう。*2

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「くれもの」観月ルートより

こちらルートでは、部活に勧誘してくれたことがきっかけで主人公が好きになり、告白して見事フラれている。

 

アイドルマスター シャイニーカラーズ』

 次はシャニマスの話をしたい。こいついつもシャニマスの話してんな。

 以下の画像は、シャニマスに登場するアイドル芹沢あさひのいわゆる朝コミュのひとつである。

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シャニマス あさひの朝コミュより

場面としては、倉庫で紙切れを見つけたあさひが、それを事務所の重要な秘密だと思っていて、プロデューサーがそれに対してなにかしら応答するという場面である。

 ここで面白いのは、「誰にも言っちゃダメだ」と「それ、領収書の切れ端だ」が並存している点である。つまり、プロデューサーはこの時点でその紙切れの正体が領収書の切れ端だと気づいている。つまり、ここで問われているのは紙切れの正体を言うか言わないかという部分が配慮できるか?ということだ。実際、ここでは「誰にも言っちゃダメだ」と返答すると「Perfect communication」(いわゆる正解の選択肢)であることが明かされる。

 

今回はここまで

 そろそろネタ切れ(早い)してきたのでここまで。また何か面白い場面があったら別途共有したい。

 最後に、フォロワーの選択肢関係の面白い記事でも紹介しようかな(媚をウルキオラ)。

xcloche.hateblo.jp

 

ではでは。

 

 

・参考文献

山拓央『時間と自由意志――時間は存在するか』2016年、筑摩書房

 

 

*1:感想はこちら

https://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=27095&uid=ubic_1 しかし久しぶりにやると意外と面白いな

*2:大正コソコソ噂話だけど本当にここだっけ……?となった。再プレイしてそれっぽいの見つけたら修正するカモ