オタク日記20220120

朝やけのホームに降り立つと毎日きまって黄色の線の内側から光に照らしだされる線路のはるか先を見通す習癖が身についてからもう何年と経過しているように思う。電車はここではないどこか遠くに駆りだしてくれる魔法の機械であるというフレーズに昔何かの小説で出会った記憶があるけれど、先ぼそりしていく線路の先を見通しているとそれだけではないように感じてくる。朝陽はもっとも人を死に駆りたてる時間。

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最近はもっぱらナナニジ過去の曲を聴きつづけている。理由はもちろん去年の暮れで所属メンバーと声優が大幅に引退したからで最初はそれほどでもないかと見くびっていたものの時間がたつにつれて徐々にナーバスになっていく自分を感じる。自分がナナニジの曲を頻りに聴くようになったのはせいぜい一、二年程度のものであるが初期から知っていた人物やキャラクターがもういなくなってしまったという寂寞感はなみ一通りではないらしいのだった。よく聴くのは声優が誰ひとり交代することもなかったフルメンバーで唯一のシングル『何もしてあげられない』のとりわけ「Rain of lies」なのだった。

> 愛しさの夕立 ずぶ濡れになったまま


> 何も言い返せずに 立ち尽くしていた


> どうすればいいのだろう(傘もない)


> この恋の夕立 雨脚が強すぎて


> 街から音が消えて 前も見えにくくなって孤独だった


> ここで背中を向けられるのか?


> サヨナラって言い出せるのか?


> どっちもどっち Rain of lies

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確かほんの一年ほどぐらい前だったか自宅のトイレの壁の折れめに蜘蛛が巣を張っていたことがあった。巣を張るというよりもはや繭で被うという形容の方が正確かとも思われるその蜘蛛を放っておいたのはもしかしたら自分が昆虫系ユーチューバーの動画をときたま追ってしまう程度には虫好きだということもあったかもしれず、そんな人家の屋内に巣を張って生活を営めるかという好奇心も手伝い放置したまま数日放っておいたことがあるのだが、何日も動きがないのを不審に思いある日繭を解いてみたところもぬけの殻と化していた。そのまま繭を解いてしまってもよかったがまたあの蜘蛛が戻ってくることを願い蜘蛛の巣はそのときの状態のままに保存しておいてあるのだった。