4月のある晴れた朝にストレイライトに出会ったことについて①

1.はじめに

ストレイライトとは、アイマス系列のゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」(以下、シャニマス)に登場するアイドルユニットで、「芹沢あさひ」、「黛冬優子」、「和泉愛依」の3名によって構成されています。*1
シャニマスはアイドルの育成要素が根本となっているゲームですが、そのなかでゲームの一要素としてプロデューサーとアイドルにまつわるエピソード、ユニット内のアイドル同士のエピソードの2種類が公開されており、ストレイライトもその例には漏れません。
今回は、そのエピソードに基づき、ストレイライトの軌跡(これまで)と今後(これから)の話をしていきたいと思います。

 

2.ストレイライトの軌跡

シャニマスにはいくつかのアイドルグループが登場しますが(2020/4/14現在6グループ)、そのうち、ストレイライトは「バチバチ感」、「二面性」の2点において特徴的なグループだと言われています。*2
ここでは、この2点がゲーム内でどのような形で表れているかを中心にストレイライトの軌跡を振り返っていきます。


2-1.「バチバチ感について」

本題に入るまえに、「バチバチ感」という言葉についての話をしておきます。
ここでいう「バチバチ感」とは、単に各人の性格・価値観が合わず仲が悪いという意味でも、何らかの競い合いのなかで相手をライバルとして敵視しているという意味でも取れるような、両義的な言葉として使用しています。
また、「バチバチ感」とはいっても、全員が全員常時そのような態度をとっているわけではなく、また、各人によってもその度合いが異なる点に留意しておく必要があります。*3


さて、まずは、「バチバチ感」が見られるなかでも代表的なシーンから見ていきましょう。

 

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これは、去年夏に公開されたイベントストーリー「Straylight.run()」のなかの一シーンで、黛冬優子が和泉愛依のアイドルとしての魅せ方をめぐって、芹沢あさひと口論になっているシーンです。
黛冬優子が「演じるもの」としてのアイドルを重視すべしと主張しているのに対し、芹沢あさひは「そのままの自分」としてのアイドルを重視すべしと反論しており、議論は平行線のまま最終的に芹沢あさひが折れる形で決着となります。
ここでは、最初に説明した「バチバチ感」の定義のうち前者、つまり「性格・価値観が合わない」ことに起因した「バチバチ感」を看取することができます。


さらにもう一例見ておきましょう。

 

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プロデュースシナリオ「ファン感謝祭」にて、黛冬優子が芹沢あさひの卓越したダンスを目の当たりにし、「絶対に追い抜く」とライバル宣言をするシーンです。続くシーンでは和泉愛依もまた自分の実力を振り返り、芹沢あさひにライバル宣言をするシーンが続きます。*4
この流れは、「バチバチ感」の後者の定義、つまり「競争におけるライバル心」に起因したものだと考えることができます。


この2シーンに顕著なように、ストレイライトのなかの「バチバチ感」とは、「そのままの自分」としてのアイドルを貫くことで十分な人気を獲得することができる「天才」サイドの芹沢あさひと、「演じるもの」としてのアイドルを装うことでようやく人気を勝ち得ることができる「凡人」サイドの黛冬優子・和泉愛依の間の対立、という形で繰り広げられています。
ストレイライトに関するエピソードも、常にこの構造をキーにした変奏だということができるでしょう。

 

ところで、ストレイライトの特徴として最初に挙げた二点のうち、「二面性」というのは、いまここで描きだした「天才」対「凡人」という対立構造に密接に関連します。
その点を踏まえ、次はこの「二面性」について説明していきます。


2-2.「二面性」について

アイドル3名によって構成されているストレイライトですが、そのうちの2名・黛冬優子と和泉愛依は普段のキャラ(性格)とアイドルとしてのキャラ(雑誌やテレビなどでアイドルとして登場する際のキャラ)の使い分けをしています。

キャラの使い分けとはどういうことなのか、なぜそのようなことをしているのか、それぞれのキャラクターに即して確認します。

 

黛冬優子に関して、彼女は先天的に(プロデューサーに出会う前から)二面性を備えていましたが、当初プロデューサーの前ではそのうち片方の顔しか見ることができません。
それがアイドルとしてのキャラで、「ふゆ」と呼ばれています。*5

 

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ゲーム内で、「ふゆ」はぶりっ子で人好きがする、誰にでもわけへだてなく接する優しいキャラとして描かれています。

しかし、あるとき、仕事先のカメラマンに「その笑顔は本物ではない」と「ふゆ」の笑顔を否定されてしまい、深く傷ついてしまいます。

その際に明かされるキャラが、もうひとつのキャラ「冬優子」になります。

 

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「ふゆ」がぶりっ子で誰にでも優しい態度をとっていたのに対し、「冬優子」は口が悪く高飛車なキャラとして登場します。


使い分ける理由に関しては多くは語られていませんが、プロデューザーにその二面性が露見した際は殊勝にも本人の口からこのような説明がされています。

 

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つまり、黛冬優子の場合は、多くの人に好かれるような自分を獲得するという目的のため、誰にも好かれない「冬優子」を覆い隠し、「ふゆ」というペルソナ的人格を備えているということのようです。

 


次に、和泉愛依の場合における「二面性」を見ていきます。

和泉愛依は、先天的に二面性を備えていた黛冬優子とは違い、後天的(アイドル活動開始後)に二面性を背負わされることとなります。登場時(プロデューサーとの出会いはじめ)の和泉愛依は単一のキャラのみ保持しており、誰に対してもフランクに接する、明るいキャラとして登場します。

 

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しかし、アイドル活動のなかで初めて人前に立った和泉愛依は、観客の多さを目の当たりにして緊張してしまい、MCを求められても言葉がつまってしまうというアクシデントがありました。

その際、対応策としてプロデューサーが考案したのが、アイドルとしてメディアに登場するときは「クールなキャラ」として自分を装うというものでした。*6

 

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つまり、ここで和泉愛依は普段の「明るいキャラ」を辞め、「クールなキャラ」としてふるまうことで人前でも緊張せずに仕事ができるような自分を獲得するようになったということです。


以上、ここまで黛冬優子と和泉愛依の二面性について確認してきました。
先述のとおり二人のこの二面性は、常にありのままの自分をさらけ出す芹沢あさひと対になっており、「バチバチ感」を発生させる温床となっています。

 

*1:キャラの詳細は公式サイトに簡単な紹介があるのでそちらをご参照ください。

*2:なお最近は「ノクチル」というグループが加入し若干アイデンティティが揺らぎつつある模様。

*3:主に冬優子がやってるだけだろという話があり、そうです。

*4:上の「Straylight.run()」もそうだったけど文盲であんまり説明がうまくないのでぜひ実際のエピソードを読んでみてほしいですね。

*5:アイドルとして仕事している以外にもそもそも気を抜いているとき以外の態度は基本こちらという留保が要る。

*6:最近のエピソードだと高校の同級生が絡んだ話があり、これがめちゃ良です。