オタク日記20220120

朝やけのホームに降り立つと毎日きまって黄色の線の内側から光に照らしだされる線路のはるか先を見通す習癖が身についてからもう何年と経過しているように思う。電車はここではないどこか遠くに駆りだしてくれる魔法の機械であるというフレーズに昔何かの小説で出会った記憶があるけれど、先ぼそりしていく線路の先を見通しているとそれだけではないように感じてくる。朝陽はもっとも人を死に駆りたてる時間。

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最近はもっぱらナナニジ過去の曲を聴きつづけている。理由はもちろん去年の暮れで所属メンバーと声優が大幅に引退したからで最初はそれほどでもないかと見くびっていたものの時間がたつにつれて徐々にナーバスになっていく自分を感じる。自分がナナニジの曲を頻りに聴くようになったのはせいぜい一、二年程度のものであるが初期から知っていた人物やキャラクターがもういなくなってしまったという寂寞感はなみ一通りではないらしいのだった。よく聴くのは声優が誰ひとり交代することもなかったフルメンバーで唯一のシングル『何もしてあげられない』のとりわけ「Rain of lies」なのだった。

> 愛しさの夕立 ずぶ濡れになったまま


> 何も言い返せずに 立ち尽くしていた


> どうすればいいのだろう(傘もない)


> この恋の夕立 雨脚が強すぎて


> 街から音が消えて 前も見えにくくなって孤独だった


> ここで背中を向けられるのか?


> サヨナラって言い出せるのか?


> どっちもどっち Rain of lies

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確かほんの一年ほどぐらい前だったか自宅のトイレの壁の折れめに蜘蛛が巣を張っていたことがあった。巣を張るというよりもはや繭で被うという形容の方が正確かとも思われるその蜘蛛を放っておいたのはもしかしたら自分が昆虫系ユーチューバーの動画をときたま追ってしまう程度には虫好きだということもあったかもしれず、そんな人家の屋内に巣を張って生活を営めるかという好奇心も手伝い放置したまま数日放っておいたことがあるのだが、何日も動きがないのを不審に思いある日繭を解いてみたところもぬけの殻と化していた。そのまま繭を解いてしまってもよかったがまたあの蜘蛛が戻ってくることを願い蜘蛛の巣はそのときの状態のままに保存しておいてあるのだった。

オタク日記20220119

 中学生のころ通っていた塾の帰り道、寒々とした夜気のなか空を見上げてみると雑木林の上の方に小さく光りかがやく月を見ることが出来た。


 その塾はクラスメイトの父親が経営しているといういわゆる個人塾で、塾生の大半が同じ学校のクラスメイトで占められたかなり小規模なものであったが、近所にあったその塾長の息子の家に幼い時分から通い慣れていたこともあって、講師含めて顔見知りが多く在籍するその塾に通うことはさほど苦痛ではなかった。ただ塾のみならず勉強全体に対して漫然とした忌避感をおぼえるようになったのはやはり当時が受験シーズンに入っていたからで、雰囲気こそ変わらなかったけれども小休憩の間に交わされる会話も徐々に勉強のことにとってかわられることに、心の奥底で忌避感ないし嫌悪感が湧き出ることもいま思い返せば仕方がないことではあった。そんな私が月の輝かしさに目を奪われたのはやはりそのときの回りの環境や雰囲気に倦んでいて、非人間的な崇高性や超越性を求めていた部分があるに違いないのだった。


 厚手のコートを着込み自転車を漕ぎながら月を見上げる習慣が定着してからしばらくして、高校受験が終わった。合否は惨憺たるもので、第一志望の高校には不合格、不精からろくに下見にも行かなかった滑り止めの高校に命からがら拾ってもらうことでなんとかやり過ごすことができた。高校に落ちたことはどうでもよく、というよりどの高校に受かったか落ちたかなんて甚だどうでもよろしいことだと思っていたため、受験期が終わり、受験勉強が終わったことに第一の安堵感をおぼえていた。それに加えて宿題も何もない高校までの春休みが勉強に駆動され続けた受験生にとっては何よりのオアシスとなるだろう。


 受験が終わり、あともうしばらくで中学校の卒業式を迎えようとしていたある日、塾の最終日が訪れた。小学校の中学年から通い続けていたので通算五、六年ほどは通い続けたことになるが、終わってみるとあっけないもので、もうほかの塾生と会うこともほとんどないのだろうということをぼんやりと考えた。春から通う高校に合格した生徒は自分の中学からは自分一人しかおらず、中学生のクラスメイトとも特段の事情がない限りこちらから会おうともしないつもりだったし、友達もそれほど多くはなく、再会の連絡を入れるような積極性もひとかけらも持ち合わせることがなかったため、この中学生活が終わったらもはや誰とも会うことがないのだろうと思っていた。


 頭の片隅で聞き捨てていた塾長の長話の最後、急に未来に向けた手紙を書こうという提案が持ちだされた。いまの自分から十年後の自分に向けた手紙を書こうということである。塾の講義の一環としてという点をのぞけば、企画としてはごくごく凡庸なものである。手紙など当然誰かに宛てることもなく、メールすら友人の少なさから誰かに送ることがなかった当時の自分としては文章を書くということに一種の煩わしさを感じていたが、自分自身に宛てる手紙というのはそうした気負いをなしに書くことができるかもしれない気安さを思いながら手紙を書いてみることにしたのだった。


 先日、十年後の自分に宛てで書かれた手紙が塾から送られてきたという連絡があった。日々の煩わしさに忙殺され、手紙のことなどそのときまでまるっきり忘れていた私は、受け取った手紙を読みすすめていくたびに少しずつ当時のことを思い返していった。手紙の内容は当時のやや息苦しさを感じる環境の話から始まり未来の自分の身の回りに対する問いで終わるひどく凡庸なものだったが、一点、冬の痛々しい寒さに刺激されながら見上げた夜空に浮かぶ神々しい月の記述が私の目を引いた。あれから月を見上げる機会はめっきりとなくなり、忙しさから塾の近所を通りかかることもなく、当然のことながら塾生塾講師といった当時の関係者と再会することも二度となかった。そもそも塾がまだ存続しているかどうかすら存じないが、願うことなら続いてくれていればいいと思う。そうしたはるか昔に灰褐色に思い描いていた心情や映像をただ天上に黄金に光りかがやく月の便りから知るのみなのだった。



2022年1月19日


22/7『何もしてあげられない (Type-B)』収録「君はMoon」を聴きながら

[シャニマス]20210820-20210831 Voストレイで頑張る

お久しぶりです。okimochivationです。

 

ブログを更新しないのもアレなのでシャニマスでブログを更新します。今期のメイン編成であるVoストレイの話でもします。

 

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現在グレ6で、Voストレイ編成としてはどこにでもある平凡な編成だと思う。スキルは冬優子以外は自札2枚で、冬優子は自札のVoアピールとモーニンググローリーを選択。

 

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基本的なサポートアイドルはこんな感じ。パッシブは上限に追われてSPが吸われるとプロデュースアイドルの金バフと1人〜2人ぐらいの金バフしか取れず、つらい。ランキング上位のGRAD産1500オーバーのアイドルはプロアクションリプレイでも使っているのか?

 

夏葉はこの前のビードロ夏葉実装前なので月刊CLIMAXを採用しているがビードロ夏葉は金バフが注目度UPが2個以上ついている場合Vo100UPで、注目度が2個以上つくような場合は放クラかアンティーカ以外だと実質無理なように思う。また、GRADはユニマスでSPばかり稼げるものの意外とステータスが稼ぎづらいためユニマスVoは意外と悪くないと思う。なので、月刊CLIMAXとビードロ夏葉は割と択だと考えられる、というのが個人的な印象。

 

 

上記の編成を使っていて思うのは、プロメッサ強すぎィ!ということと意外とモーニンググローリーが使いやすいということですね。

1ターン目:ほかのライバルのシルエットを確認して、いまの環境であれば灯織なら十中八九Da、霧子・樋口・霧子であればまぁVo(千雪さんは当たってたか忘れたけどいまの環境ならVoだろうか)なので、シルエットに応じてプロメッサまたは霧子で集中砲火を抑える。

 

2ターン目:あさひはぶっちゃけリンクアピールでVoアップしてもなにに使うねんという感じなので初期のターンには撃ってリンクアピール分のチャージが出来れば理想。

 

3〜4ターン目:プロメッサが引ければプロメッサで集中砲火を抑える。5ターン目にモーニンググローリーを撃ちたいのでプロメッサ→モーニンググローリーはよくてもモーニンググローリー→プロメッサはダメ。後は愛依ちゃんの自札でパッシブ(思い出アピール消去用)を稼いでいくゥ!(ライバロリ)

 

5ターン目:モーニンググローリー。DaやViは次のターンの愛依ちゃんの思い出リンクでもなかなか打点が入らないのでここで興味を上げておく。

 

6ターン目:思い出リンク愛依ちゃん。がここでの理想なのだが、6ターン目には審査員が1人ぐらいはもう帰っているしそもそも思い出レベルが3なのでうまく吹っ飛ばない。つらい。

 

 

以上が現時点での主なグレフェスでの立ち回りだが、まとめると思い出リンクの火力がクソ雑魚すぎてつらい。暇な時におまもり使って作り直すかな。

 

というかそれはそれとして冬優子はなんとなくパッとしないと思う。もはやモーニンググローリー要員になっているまである。今後強いVo冬優子が来ることを期待したい。

 

 

昨日発表があった限定あさひは全属性バフも稼ぎつつ興味1.5倍まで稼げるので普通にアド。ワンチャン冬優子はモーニンググローリーと合わせて無限興味UP編の要員になってもらうのもいいかもしれない(……シテ)。

 

また改稿するかもしれないが、とりあえずここまで。

 

 

ゲームにおける「選択肢」にまつわる雑記

「選択肢」にまつわる根深い問題

ツイッターで回ってきた画像で、虚淵玄が面白いことを言っていた。かなり昔なので出典も、下手したら真偽も不明だが、「エロゲの選択肢は選択の場面から選び手が自由に行動を選択できるわけではなく、これまでのストーリーの流れから選択肢はひとつに限られている」という趣旨だったように思う。実は分析系の哲学者青山拓央も同じようなことを言っていて、曰く行為選択における自由意志は存在しないと。こちらもこちらでいつか深掘りしたい案件ではあるが、とにかく選択肢という事象は、かようにも根深い問題なのである。今日は、そんな選択肢というものについて、私がゲームのなかで見つけた面白い利用法・現象を紹介したいと思う。

 

「選択肢」にまつわる面白いあれこれ

 『捻くれモノの学園青春物語』

 かなりマイナーなゲームだと思うがご容赦願いたい。『捻くれモノの学園青春物語』、通称「くれもの」はエロゲブランド「りびどーそふと」から2018年12月に発売されたエロゲーである。*1

 こちらのゲームで、以下のような場面がある。

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「くれもの」さやかルートより

 これは、「くれもの」のさやかルートで、ヒロインのひとり椎名さやかが、自分の過去の話を語るシーンである。小さいころから孤児のための施設に入居していて、誰ひとり友達ができなかった。そこに主人公の夷隅が部活に勧誘してくれ、「私、1人じゃ、なくなった」のである。

 本作の面白い点は、この設定(感情)がほかのヒロインのルートでも登場してくることだろう。*2

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「くれもの」観月ルートより

こちらルートでは、部活に勧誘してくれたことがきっかけで主人公が好きになり、告白して見事フラれている。

 

アイドルマスター シャイニーカラーズ』

 次はシャニマスの話をしたい。こいついつもシャニマスの話してんな。

 以下の画像は、シャニマスに登場するアイドル芹沢あさひのいわゆる朝コミュのひとつである。

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シャニマス あさひの朝コミュより

場面としては、倉庫で紙切れを見つけたあさひが、それを事務所の重要な秘密だと思っていて、プロデューサーがそれに対してなにかしら応答するという場面である。

 ここで面白いのは、「誰にも言っちゃダメだ」と「それ、領収書の切れ端だ」が並存している点である。つまり、プロデューサーはこの時点でその紙切れの正体が領収書の切れ端だと気づいている。つまり、ここで問われているのは紙切れの正体を言うか言わないかという部分が配慮できるか?ということだ。実際、ここでは「誰にも言っちゃダメだ」と返答すると「Perfect communication」(いわゆる正解の選択肢)であることが明かされる。

 

今回はここまで

 そろそろネタ切れ(早い)してきたのでここまで。また何か面白い場面があったら別途共有したい。

 最後に、フォロワーの選択肢関係の面白い記事でも紹介しようかな(媚をウルキオラ)。

xcloche.hateblo.jp

 

ではでは。

 

 

・参考文献

山拓央『時間と自由意志――時間は存在するか』2016年、筑摩書房

 

 

*1:感想はこちら

https://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=27095&uid=ubic_1 しかし久しぶりにやると意外と面白いな

*2:大正コソコソ噂話だけど本当にここだっけ……?となった。再プレイしてそれっぽいの見つけたら修正するカモ

男女女ラノベ紹介

って何?

 まず男女女ってなんだよという人が多いと思う。こっちが聞きてぇわ(逆ギレ)。わかりやすくふんわり言うといわゆる男男や女女と同じ類型で、三人の男女が三人ともほか二人のことを少なからず想いあっているような関係性のことを男女女、と言います。明確な定義はなく、上記の説明もあくまで私個人の主観による定義です。

 長々と定義論をするとアチアチなことになってしまうので早々に本記事の紹介をしますと、これは私が好きな男女女のラノベを紹介しようという記事になります。なんか自分の男女女イデオロギー(?)的に男女女のラノベかと言われると微妙だな……と思うのは「番外編」として載せました。ラノベに限定しているのは男女女はラノベ以外だとあまり見かけないからだというのがありますし、私自身読書がラノベに偏っているからというのもあるので、皆さんでアチアチなオススメがあればお待ちしています。

 

作品紹介

〈友達いらない同盟〉園生凪

 疑似部活もの。簡単に言うとマジメ一辺倒の俺ガイル。捻くれた性格からクラスカースト上位のギャル・城ヶ崎に喧嘩を売ってしまい、クラスでぼっちになってしまった主人公・新藤。そんな彼に、クラスの地味な女子・澄田が突然同盟を組まないか?と持ちかけてくる。そこからさらに喧嘩を売ったはずの城ヶ崎も関わってきてというもの。

 男女女ものとしては、おそらく一番面白いんじゃないだろうか。(園生凪作品の中でも最高傑作かも)。作者の園生凪は独特な会話のテンポが特徴で、同じ作者の『夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去』(こちらも面白い)の表現を借りるなら、どこか「音楽的」でマイペースな会話劇が展開される。テーマとしては「絆が不可能な時代に絆を贈与しあうこと」というか……まぁ読んでみた方が早いですね。全2巻なので読むのがたるい私なんかでも読みやすい。

 

〈1LDK、そして2JK。〉福山陽士

 最近流行りの同居もの。会社員の駒村は、ある日家庭の事情により家を離れた気が強い従姉妹のJK・奏音を預かることになった。その対応で忙しくなるなか、会社に出勤中、家出してきたというJKのひまりもひょんなことから知り合い、こちらも預かることになってしまうのだった。

 主人公とJK2人の関係だけでなく、同居するなかで起こる小さな生活上のトラブルにもたびたび言及があり、淡々とした日常パートが生活感を生むことに繋がっている点が面白い。主人公駒村の異常独身男性みたいな性欲は正直勘弁してほしいナ……と思いつつ、連載中のラノベのなかでは貴重な男女女枠であり、かなり重宝している。

 似た作品としてよく引き合いに出されるのは某ヒゲを剃るラノベだが、主な違いとしては同居しているヒロインが一人か二人かという点で、こちらは男女女属性を獲得していると言えるだろう。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 11』渡航

 蛇足でシリアスすぎると批判されることが多い(し、私自身もあんまり好きではない)俺ガイルの後半部分でも、この巻だけは例外的に好きな方。たぶん三角関係が匂わせ程度で、まだ前景化してないからだろうな。なんというか、別れが近づいている奉仕部の悲壮感と、さらにそんな関係になるまで自分が入れ込んでしまっていることへのメタ的な自省感があるというか……。後者は深読みしすぎじゃないと良いね。

 11巻では、一色いろはの依頼を受け、奉仕部はバレンタインデーのイベントを手伝うことになる。三浦たちも加わり、和気藹々とした空気が流れるが、それを見た雪ノ下の姉・陽乃に、これが君たちのいう本物?と指摘されてしまうのだった。

 男女女の作品自体は何個かあれど、自分たちの関係それ自体を俯瞰する作品は俺ガイルぐらいではないかと思う。特にこの巻ではポイントを一番多く集めたものがお願いことを叶えられるという一巻の設定が回収されてて、そういう意味でもアツい。

 

番外編

『ワールズエンド・ガールフレンド』荒川工

 

 男女女っていうよりは男の子一人と双子姉妹との恋愛関係じゃないか……?ってなったのでとりあえず番外枠に。田中ロミオの解説が有名な作品だけど、内容自体も普通に面白い。

 面倒になってきたので、以下公式の粗筋を抜粋。

「双子の姉妹、まひると真夜。幼なじみの少年、慎司。それぞれに恋心を抱きながら育ち、やがて高校生となったある日、真夜は事故により記憶を失い、日常がゆるやかに崩壊をはじめる。

 ポエミーな文章が随所で差し挟まれ、時系列も現代と過去が交互に描写されることで話の筋も薄ぼんやりとしたものになっている。文章の美しさと幻想的な雰囲気に味があると言える作品。

 

暗闇にヤギを探して穂史賀雅也

 ここまで来るとさすがにこじつけっぽい。男女女は三角関係も内包するからね、仕方ないね。

 ボーッとしていて、窓から見える風車を見ることが好きな主人公・合人。そんな彼には、何故かいつも着ぐるみを着ている幼馴染・風子がおり、そんな彼女や友人たちに囲まれながら、合人は平穏な日常を過ごしている。そんなある日、とあるきっかけから紙しか食べられないという不思議な生徒会長・千歳と知り合い、話すうちに仲も深まっていく……というお話。

 常に着ぐるみを着ている風子になんの説明もないまま話が進んだり、風車というモチーフを蝶番に夢と現実の境界が曖昧になったりするなど、とぼけた語り口の中にも幻想的な風味がある作品となっている。かと思うと3巻の冒頭に幼馴染・風子のダウナーな一人称が入ったり、ダウナーな女性一人称オタク的にもおいしい。

 

今回はここまで

今回はこんなところですかね。俺の私のワシの好きな激アツ男女女作品紹介を待っています。『私たちの田村くん』は1億年積みっぱなしなのでそろそろ読みたい。

4月のある晴れた朝にストレイライトに出会ったことについて②


3. ストレイライトの今後

 

前回の記事(「4月のある晴れた朝にストレイライトに出会ったことについて①」)で確認してきた通り、ストレイライトは互いに対する敵対心とキャラの二面性を武器に売り出してきたアイドルグループだといえます。
では、ストレイライトの実装から1周年を迎えたいま、彼女たちはどのような方向へむかっていくのでしょうか。
直近で公開されたイベントストーリー「WorldEnd:BreakDown」を参考に、今後のストレイライトの未来像を予想していきます。

 

「WorldEnd:BreakDown」は去年夏の「Straylight.run()」から、およそ9か月ぶりに公開されたストレイライトのイベントストーリーです。
前回の「Straylight.run()」が芹沢あさひと黛冬優子の間の確執を描いた話だとすれば、今回のストーリーは、特に和泉愛依のグループのなかの立ち位置をめぐる話だととらえられます。
注目すべき点は、メンバー各個人がそれぞれの人気投票の票数を競う今回のイベントストーリーのなかで、個人の勝ちに執着しがちな芹沢あさひと黛冬優子はSNSの更新など自己PRに余念がないのに対して、和泉愛依は自己PRよりもほかのメンバー二人のPRを優先しているという点です。これは、本人からもその思いが語られている通り和泉愛依の「ストレイライトで一緒に勝ちたい」という、グループ優先的な、悪く言うと自己犠牲的な精神に根差した行動だと考えれます。和泉愛依がメンバー全体のことを思う仲間想いな性格はこれまでの物語でもたびたび描写されていましたが*1、今回のイベントはその負の側面を析出する内容だったように思います。


イベントストーリーは、最終的に愛依の自己犠牲的な精神を見とがめたほかのメンバー二人が人気投票の票数をどうでもいいものとして打ち捨て、次こそは各個人がそれぞれ自分だけの力で戦いあおうと宣言、そして愛依も次のような友情交じりのライバル宣言を出してイベントストーリーは終結します。

 

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このライバル宣言自体はなんらかの進展を示すものというより、ファン感謝祭後半のそれぞれの関係性を明確化したシーン*2の再確認の意味合いが強いですが、次回のイベントストーリーでは、課題をあらたに再確認したうえで、三人が全員とも公平な条件で戦いあうようなイベントストーリーが来るものと予想します。

*1:個人的に印象深いのは【なるんじゃん?】和泉愛依の「シー」

*2:シーズン4「Shall we dance?

4月のある晴れた朝にストレイライトに出会ったことについて①

1.はじめに

ストレイライトとは、アイマス系列のゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」(以下、シャニマス)に登場するアイドルユニットで、「芹沢あさひ」、「黛冬優子」、「和泉愛依」の3名によって構成されています。*1
シャニマスはアイドルの育成要素が根本となっているゲームですが、そのなかでゲームの一要素としてプロデューサーとアイドルにまつわるエピソード、ユニット内のアイドル同士のエピソードの2種類が公開されており、ストレイライトもその例には漏れません。
今回は、そのエピソードに基づき、ストレイライトの軌跡(これまで)と今後(これから)の話をしていきたいと思います。

 

2.ストレイライトの軌跡

シャニマスにはいくつかのアイドルグループが登場しますが(2020/4/14現在6グループ)、そのうち、ストレイライトは「バチバチ感」、「二面性」の2点において特徴的なグループだと言われています。*2
ここでは、この2点がゲーム内でどのような形で表れているかを中心にストレイライトの軌跡を振り返っていきます。


2-1.「バチバチ感について」

本題に入るまえに、「バチバチ感」という言葉についての話をしておきます。
ここでいう「バチバチ感」とは、単に各人の性格・価値観が合わず仲が悪いという意味でも、何らかの競い合いのなかで相手をライバルとして敵視しているという意味でも取れるような、両義的な言葉として使用しています。
また、「バチバチ感」とはいっても、全員が全員常時そのような態度をとっているわけではなく、また、各人によってもその度合いが異なる点に留意しておく必要があります。*3


さて、まずは、「バチバチ感」が見られるなかでも代表的なシーンから見ていきましょう。

 

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これは、去年夏に公開されたイベントストーリー「Straylight.run()」のなかの一シーンで、黛冬優子が和泉愛依のアイドルとしての魅せ方をめぐって、芹沢あさひと口論になっているシーンです。
黛冬優子が「演じるもの」としてのアイドルを重視すべしと主張しているのに対し、芹沢あさひは「そのままの自分」としてのアイドルを重視すべしと反論しており、議論は平行線のまま最終的に芹沢あさひが折れる形で決着となります。
ここでは、最初に説明した「バチバチ感」の定義のうち前者、つまり「性格・価値観が合わない」ことに起因した「バチバチ感」を看取することができます。


さらにもう一例見ておきましょう。

 

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プロデュースシナリオ「ファン感謝祭」にて、黛冬優子が芹沢あさひの卓越したダンスを目の当たりにし、「絶対に追い抜く」とライバル宣言をするシーンです。続くシーンでは和泉愛依もまた自分の実力を振り返り、芹沢あさひにライバル宣言をするシーンが続きます。*4
この流れは、「バチバチ感」の後者の定義、つまり「競争におけるライバル心」に起因したものだと考えることができます。


この2シーンに顕著なように、ストレイライトのなかの「バチバチ感」とは、「そのままの自分」としてのアイドルを貫くことで十分な人気を獲得することができる「天才」サイドの芹沢あさひと、「演じるもの」としてのアイドルを装うことでようやく人気を勝ち得ることができる「凡人」サイドの黛冬優子・和泉愛依の間の対立、という形で繰り広げられています。
ストレイライトに関するエピソードも、常にこの構造をキーにした変奏だということができるでしょう。

 

ところで、ストレイライトの特徴として最初に挙げた二点のうち、「二面性」というのは、いまここで描きだした「天才」対「凡人」という対立構造に密接に関連します。
その点を踏まえ、次はこの「二面性」について説明していきます。


2-2.「二面性」について

アイドル3名によって構成されているストレイライトですが、そのうちの2名・黛冬優子と和泉愛依は普段のキャラ(性格)とアイドルとしてのキャラ(雑誌やテレビなどでアイドルとして登場する際のキャラ)の使い分けをしています。

キャラの使い分けとはどういうことなのか、なぜそのようなことをしているのか、それぞれのキャラクターに即して確認します。

 

黛冬優子に関して、彼女は先天的に(プロデューサーに出会う前から)二面性を備えていましたが、当初プロデューサーの前ではそのうち片方の顔しか見ることができません。
それがアイドルとしてのキャラで、「ふゆ」と呼ばれています。*5

 

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ゲーム内で、「ふゆ」はぶりっ子で人好きがする、誰にでもわけへだてなく接する優しいキャラとして描かれています。

しかし、あるとき、仕事先のカメラマンに「その笑顔は本物ではない」と「ふゆ」の笑顔を否定されてしまい、深く傷ついてしまいます。

その際に明かされるキャラが、もうひとつのキャラ「冬優子」になります。

 

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「ふゆ」がぶりっ子で誰にでも優しい態度をとっていたのに対し、「冬優子」は口が悪く高飛車なキャラとして登場します。


使い分ける理由に関しては多くは語られていませんが、プロデューザーにその二面性が露見した際は殊勝にも本人の口からこのような説明がされています。

 

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つまり、黛冬優子の場合は、多くの人に好かれるような自分を獲得するという目的のため、誰にも好かれない「冬優子」を覆い隠し、「ふゆ」というペルソナ的人格を備えているということのようです。

 


次に、和泉愛依の場合における「二面性」を見ていきます。

和泉愛依は、先天的に二面性を備えていた黛冬優子とは違い、後天的(アイドル活動開始後)に二面性を背負わされることとなります。登場時(プロデューサーとの出会いはじめ)の和泉愛依は単一のキャラのみ保持しており、誰に対してもフランクに接する、明るいキャラとして登場します。

 

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しかし、アイドル活動のなかで初めて人前に立った和泉愛依は、観客の多さを目の当たりにして緊張してしまい、MCを求められても言葉がつまってしまうというアクシデントがありました。

その際、対応策としてプロデューサーが考案したのが、アイドルとしてメディアに登場するときは「クールなキャラ」として自分を装うというものでした。*6

 

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つまり、ここで和泉愛依は普段の「明るいキャラ」を辞め、「クールなキャラ」としてふるまうことで人前でも緊張せずに仕事ができるような自分を獲得するようになったということです。


以上、ここまで黛冬優子と和泉愛依の二面性について確認してきました。
先述のとおり二人のこの二面性は、常にありのままの自分をさらけ出す芹沢あさひと対になっており、「バチバチ感」を発生させる温床となっています。

 

*1:キャラの詳細は公式サイトに簡単な紹介があるのでそちらをご参照ください。

*2:なお最近は「ノクチル」というグループが加入し若干アイデンティティが揺らぎつつある模様。

*3:主に冬優子がやってるだけだろという話があり、そうです。

*4:上の「Straylight.run()」もそうだったけど文盲であんまり説明がうまくないのでぜひ実際のエピソードを読んでみてほしいですね。

*5:アイドルとして仕事している以外にもそもそも気を抜いているとき以外の態度は基本こちらという留保が要る。

*6:最近のエピソードだと高校の同級生が絡んだ話があり、これがめちゃ良です。